上海の市場で現地の中国人と話すとその早口と訛りに圧倒されます。でも現地で生活する日本人の友人たちは自然にその会話に溶け込んでいます。聞き取っているコツがあるようでした。そして友人たちに共通しているのは声調がまるでネイティブでした。
現地にいる欧米人の中国語も?と思う発音は多いのですが、でも彼らの中国語はよく通じているようでしたが、中国人からすれば日本人の中国語よりも良いという意見が多く、おそらくカギは声調と子音にあるようです。子音に関しては理由はあとで述べます。ここでは声調に焦点を当てます。
それでこの【ピンインの学び方-2」では声調の通じるポイントに焦点を当てます。同時にそれは日本人の中国語の弱点がこの声調にある事にも言及することになります!
まずは声調についての一般的な基礎練習です。
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各声調のポイントです。
ピンインは声調が付いて初めて意味のある漢字になります。声調が違えば同じピンインつまり同じような発音でも意味が違います。ですから通じるためには正しい声調が大切になります。
一声・ニ声・三声・四声そして軽声があります。声調はトーンの上がり下がりです。一番高いトーンはドレミの「ソ」です。一番低いトーンは「ド」よりも下がります。
声調の定説から声調をみてみましょう。まず五度数声調表記法をご覧ください。1958 年に北京で発行された Modern Chinese Reader にも採用されているものです。
Chao (1948) は、音階による表記を用いて、四声のピッチの変化と併せて持続時間の特徴に注目し、「第 3 声が最も長く、第 4 声がそれに続き、第 2 声と第 1 声は同じで最も短い」と報告しています。
■ 一声(高・gao1)➤ 高く平ら!伸ばしすぎに注意。
一声は高いまま横に伸ばします。汽笛の「ポー」のようにです。
汽笛のポーというイメージですが、これは高さと平(たいら)を強調しています。つまり上下にゆれたり、最後にトーンが落ちないようにすることが重要です。
Chaoの言う「第 2 声と第 1 声は同じで最も短い」にも注意を払いましょう。
■ 二声( 升・sheng1 )➤ すこし低いところから一気に!一番高いところに上げます。
一気に上げて、最後を突き上げて喉を絞めるのがポイントです。ぐっと上がって最後はさらに角度を加えて真上に突くという感じです。「ええ!」と聞き返すあの感じです。
■ 三声(低・di1) ➤ ドの低い音をさらに押し下げる。
三声は低く抑えて最後が抑えきれず少し上がります。我慢ができなくて反動で最後が少しだけ上がってしまう感じです。「あーあ!」のため息のように。
ただ三声とは別に、実際に使用するのは半三声です。このあとで詳しく記述します。
■ 四声(降・jiang4)➤ 一番高いトーンから一番低いトーンへと急降下します。
四声は一番高いところから一気に落とします。カラスの「カアー」のイメージです。でもトーンを落とすだけでなく、声に力を加えますとより四声らしくなります。イメージ的には飛び込みでまっすぐに落とす感じですが、落とす速度を早くするために力を込めるという感覚です。弱々しく落としますと放物線を描いて落ちる状態になります。それでは四声らしさがなくなってしまいます。
■ 軽声
軽声は前の声調のトーンに影響されます。簡単なのは真ん中に戻すという方法です。前が高ければ低くして真ん中へ、低ければ高くして真ん中へポンと置く感じです。
ここまでが一般的な声調の練習です。しかしこの練習法は日本人には弱点をカバーする練習になっていません。
それで日本人には下記の方法がお勧めです。
北京大学お勧めの効果的な声調練習方法
mā・ má・ mǎ・ mà の声調練習は初めて中国語を学ぶ際に行われます。それほど難しくはないのですが、声調でつまづく人は結構多いのです。
声調がマスターしにくいのは日本語とのトーンの違いに原因があります。その原因を知って、最初に克服しなければその壁が越えられません。
北京大学が外国人向けに編纂したピンインの専門テキスト、漢語語音教程ではmā・
má・ mǎ・ mà とは違う組み合わせでの声調の簡便練習法!が提案されています。
日本人が声調で失敗する原因はトーンの高低差を克服せずにmā・ má・ mǎ・ mà の声調練習から入ってしまうことにあります。
日本人はまずトーンの拡張練習をおこないましょう
まず最初にすべきトレーングは音域の拡張からです!
平坦な日本語のトーン(音声の高低)に比べ、ハイトーンの中国語、うるさく感じるときもありますが、空港アナウンスのハイトーンが混じる中国語は何とも言えないメロデイアスな言語です。
まず日本語と中国語のトーンの高低差の違いをご覧ください。
声調図
次の図が原図です。
上記声調図で日本語と中国語の音域に注目してください。この5度の五線譜は音楽のドレミファソを表しているわけではありません。でもトーンの差の指標として分かり易いかもしれません。
1度から5度が中国語の音域で、日本語は2度から4度ですから、上の1度と下の1度が日本語の発音にはないトーンだということになります。
この音域練習で注目できるのが、北京大学の「四声実際読音図」で提案されている、トーンの一番上と下を意識した練習です。この北京大学の漢語語音教程というテキストは外国人にピンインを教えるテキストです。
ですのでこのような提案が最初に勧められています。
漢語語音教程の最初の図は「四声5度標記法図(トーンを示した図)」とあり、さらにそこで、三声を半三声にするのが簡便法練習だと言っています。声調図で「三声・低」とした箇所はこの原図からの引用です。
又下げてから上げる第三声は後ろに他の音節がきますと半三声になります。下げてから上げる発音をするのは文末の場合になりますので、通常の文章中では圧倒的に半三声で発音します。そうしますと通常の言語生活では半三声の方が常態なのです。
そうしますと正規の第三声の声調練習は実践的でないと言えます。
■ 簡便声調練習法
まずトーン拡張のための、声調の基礎のレッスンを次のように行ってみることをお勧めします。
❶ 最初に一声と半三声をセットにしてトーンの高低を認識 ❷ 次に二声と四声をセットにして昇(のぼる)と降(くだる)の感覚をつか
むことが勧められています。
実際の発音での注意点
■ 一声×三声の特徴
一声 ➡ 自分が考えるトーンより少し高めに発します。
ドレミファソと音程を取って、ソよりも高めに発します。
持続時間は短めにして、後のトーンが落ちないようにします。
半三声 ➡ お腹の底で音を発しますが、低くすると音を出すのが苦しくな
ります。その苦しいのを我慢して発します。
練習方法➡ 一声×半三声を繰り返します。消防車のサイレンの「ピー×ポ
ー」の要領で,「mā×mǎ」で「最高の高さ×最低の低さ」を発声する
つもりで繰り返します。
■ ニ声×四声の特徴
ニ声 ➡ 最後にキュット角度をつけて上を突くのがポイントです。
四声 ➡ トーンを落とすだけでは四声らしさがでません。力を込めて落と
しましょう。
■ 中国語は母音を大きな声ではっきりと発音しましょう
声調の違いは意味に関係します。ということは、声調がはっきり聞き分けられないと、意味も伝わりにくくなります。ですので、声調符号が振られた母音をはっきり大きな声で発音する!ことが、意味を伝える重要なことになります!
意味を伝える観点では声調は最も重要で、発音練習の際母音と声調をセットで身に付けましょう!
ここからは中国で人気の講師の練習です。中国人老師が中国人の子供たちに声調を教えています。耳を慣らすためにもあえて中国語でお教えする教材を使います。
■ 语言训练小洁老师Yǔyán xùnliàn xiǎo jié lǎoshī の声調訓練
タイトル:说话声音怪?四招学好四声调。Shuōhuà shēngyīn guài? Sì zhāo xuéhǎo sì shēngdiào.
話し方が変だ?四声を習得するための4つの方法です。
一声 阴平 yīnpíng
二声 阳平 yángpíng
三声 上声 shǎng shēng
四声 去声 qù shēng
※ 上声 の上は上声(じょう しょう)で“上声shǎngshēng”と三声で言います。
山(やま)は shàng四声 です。
来找找音调高低的感觉(lái zhǎo zhǎo yīn diào gāo dī de gǎn jué.)
声調の音階の高低の感覚を身に付けましょう。
听音阶法(tīng yīn jiē fǎ)音階を聴く方法も3っつ提案されていました。
その一つが「爬山发音法Páshān fāyīn fǎ 」音階の練習のようです。3分10秒にあります。
そして声調にも口ずさむ口诀Kǒujuéがあります。これも練習に使ってください。※口诀Kǒujuéは中国で教えるときの方法です。理屈よりも何度も口ずさむことで自然に覚えます。ですのでこのフレーズを覚えてしまいましょう。mā・ má・ mǎ・ màよりも楽しく声調が自然に馴染んで身に付きます。
「四声歌」の冒頭の句に次のようなフレーズがあります。
学好声韵辨四声,阴阳上去要分明(xué hǎo shēng yùn biàn sì shēng , yīn yáng shǎng qù yào fēn míng。:訳、声調と韻をよく学び、陰陽と上去の区別を明確にする必要があります。
学好:動詞・補語(形容詞) ちゃんと学ぶ,学んで身につける.
辨:動詞 見分ける、識別する。
辨四声:四声を識別する
こうしたフレーズそのものも口ずさんで覚えてしまいましょう。
阴阳上去(yīn yáng shǎng qù):陰陽上去 - 中国語の四声調の一つです。
阴阳赏趣(yīn yáng shǎng qù):陰陽賞趣 - 陰と陽の相反する属性や魅力を楽しむこと。
陰と陽の調和の美を愉しむこと。このフレーズでも練習できます。
他にも最後の方で「含四个声调的四字词语。hányǒu sì gè shēngdiào de sì zì cíyǔ」4つの声調を持つ4文字の言葉で練習もおこなっています。
花红柳绿(huā hóng liǔ lǜ):花が赤く咲き、柳が緑に茂る
发扬友爱(fā yáng yǒu ài):友愛を発揚する - 友愛の精神を広める、
资源满地(zī yuán mǎn dì):資源が豊富な土地 - 資源に恵まれた地域、
※ 四声歌は中国で演劇やアナウンサーなどが滑舌を良くする練習歌です。日本にも外郎売(ういろううり)という口上の長セリフがあります。声のプロの人には有名な滑舌練習のセリフです。
ですので、それはピンイン経験者が上級レベルを目指す場合に役立ちますが、ここでは冒頭の一部のみのご紹介です。
中国の教え方には中国の文化の背景が感じられます。中国語を学ぶならそうした文化背景に馴染むことも大切だと考えます。
■ 日本人プロ講師の動画
最後に一声と三声そして二声と四声をセットにした練習で、とても的確な説明と模範音声の「アジアの言葉教室」稲葉あきこ先生の動画をご紹介します。「通じる中国語」のコンセプトにふさわしい声調の紹介になっています。
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